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人間が完全に堕落しているとはどういうことですか?

 人間が全く堕落している(全的堕落)という教理は、人が徹底的に腐り切っているという意味ではありません。この教理は、新生していない人の意志は自分を喜ばせることだけを求めており、それがために完全に誤っているということです。意志は、神を喜ばせることだけを求めるべきだからです。神にゆだね切っていない意志は、誤った方向を向いているのです。しかし人は、自分を喜ばせることを求めながらも、外面的に見て良いと思われる、美しいことを行なうことがあります。人は、必ずしも極悪で、あさましい行為にとりつかれている人ばかりではなく、高貴で真実なものの方を好む人もいます。しかしそれは、それが神のみこころだから好むのではなく、自分をひきつけるものだから好むのです。そういう人が邪悪な行為を行なう人と同じくらい堕落していることは確かです。ただ、邪悪な行為を行なう人よりは趣味が腐敗していないだけの話です。新生していないすべての人に必要なのは、意志を完全に方向転換させることです。もはや自分を喜ばせることは追い求めず、あらゆることにおいて自分を明け渡し、神を喜ばせることを、神がお喜びになるからという理由で行なうようになることです。

 全的堕落の教理は、まず聖書から証明されます。「肉の思いは神に対して反抗するもの……です。それは神の律法に服従しません。いや、服従できないのです」(ロマ8:7)。「彼らは、その知性において暗くなり、彼らのうちにある無知と、かたくなな心とのゆえに、神のいのちから遠く離れています」(エペ4:18)。「人の心は何よりも陰険で、それは直らない」(エレ17:9)。その他多くの聖句があります。

 またそれは、事実に訴えても証明されます。聖書の描く新生していない人間の姿は、最初はひどすぎるように思われますが、人間について----特に自分自身について、また何よりも神についてよく知り、神の聖さに照らして自分自身を見つめると、聖書の教理はまさしく真実であることがわかります。

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