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第15章 結論

 スポルジョン夫人は世を去ったが、その働きは今なお健在である。夫人が最後まで考えていたのは《書籍基金》のことであり、その支援によって益を受けている貧しい教役者たちのことであった。そして夫人は、自らの疲れを知らぬ熱心によって始まり、途切れることなく成功を収めてきたこの働きを助けるために、遺言によって相当の金額を遺した。さらにまた、自分の四十年来の友人であり、歩みをともにしてきたE・H・ソーン嬢が、J・S・ホッケー牧師と協力し合って、《書籍基金》とそこから発した様々な部門の運営を続けてくれるようにという願いも表明していた。ソーン嬢は喜んでそうすると同意しており、この働きに対するこの婦人の大きな情熱は、スポルジョン夫人を除けば誰にも負けないものである。それゆえ、いま死去した婦人のこれまでの努力に関心を寄せ、目を注いできたすべてのキリスト教界の人々は、《書籍基金》が全く中断することなくその業務を続けていくと知って満足するであろう。

 かつてC・H・スポルジョンはこのように書いている。「教役者たちにその知的な糧を供するというこの良い働きは、教役者たちの収入が倍増するまでは決して中止するべきではない。願わくは、スポルジョン夫人の《書籍基金》が教役者たちと諸教会にとって、いつまでも残り続ける祝福の源泉となるように!」 この働きを、資金不足という理由によって衰えさせてはならない。また、常に需要が供給を上回っている以上、書籍を供するための献金はいついかなる時にも喜んで受け入れられるであろう。この《基金》を創始し、これほど長い期間にわたり、これほど目覚ましく大きな成功を収めるような形で運営し、生前に自分の奉仕と財産をあれほど惜しみなく与えてきたこの献身的な婦人が、この《基金》のために大きな金額を遺贈したことを知れば、疑いもなく他の「主のしもべたち」も、自分の財をふんだんにささげる心をかき立てられるに違いない。それは、この重要な活動が、その創設を引き起こしたような必要に、いやまさって対処していけるようになるためである。スポルジョン夫人への手向けとして、何にもましてふさわしいものは、今なお夫人の名前を冠しているこの《書籍基金》に対して寄付を行なうことではないだろうか。もしも偉大さというものが、ある人がこの世で施した善の大きさ次第で決まるものだとしたら、また、もしも偉大さというものが、自分のことを顧みずに他の人々に仕える務めに献身する生き方の別名にほかならないとしたら、――そして、確かに真の偉大さとはそうした一切のことを意味するものに違いないが、――C・H・スポルジョン夫人は、同じ時代を生きた女性たちの中でも最も偉大な女性のひとりとして後世に語り伝えられることであろう。

  スポルジョン夫人伝[完]



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