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決して! 「わたしは決してあなたを離れず、また、あなたを捨てない」[ヘブ13:5]
いかなる信仰者もこの言葉を堅くにぎり、心にたくわえておくべきである。いつでもこれが口をついて出てくるように、絶えず生き生きと記憶にとどめておくことである。いつの日か、これを必要とするときがやってくるであろう。ペリシテ人の襲撃があり、病の手があなたをとらえて打ち伏させ、恐怖の王が間近にせまり、死の影の谷があなたの眼前に姿を現わすであろう。そしてそのとき、あなたは、この聖句ほど慰めに満ちたものはないことに気づくであろう。神がともにおられる実感ほど心励ましてくれるものはないことに気づくであろう。
「決して」という言葉を手放してはならない。これは同じ重みの純金にも値する。おぼれかけた人が命綱にしがみつくように、この言葉にしがみつくがいい。四方八方から攻めかかられた兵士がその剣を握りしめるように、これを堅く握りしめるがいい。神は語られた。そして、そのことばをお守りになる。「わたしは決してあなたを離れず、また、あなたを捨てない」。
「決して!」 たとえあなたの心がしばしばくじけ、あなたが自己嫌悪にさいなまれ、あなたの多くの失敗や弱さに圧倒されそうになるとしても、----そのようなときでさえ、この約束は破られない。
「決して!」 たとえ悪魔が囁きかけ、「俺は結局はお前を手に入れてやるぞ。もう少しすれば、お前の信仰はひしゃげて、お前は俺のものになるのだ」、と云っても、----そのようなときでさえ、この神のことばは立ち続ける。
「決して!」 死の冷気があなたに忍び寄り、友人たちにも手の施しようがなくなり、あなたが生きて二度とは戻れぬ旅路に出立しようとするとき、----そのようなときでさえ、キリストはあなたを捨てることがない。
「決して!」 最後の審判の日が到来し、数々の書物が開かれ、死者が墓からよみがえり、今まさに永遠が始まろうとするとき、----そのようなときでさえこの約束は、ゆうにあなたの重みを支えるであろう。キリストはあなたの魂を握りしめた御手をゆるめることはなさらない。
おゝ、信仰を持つ読者よ。主を永遠に信頼するがいい。主はこう云っておられる。「わたしは決してあなたを離れない」。あなたの渾身の重みをもって主に身を投げかけるがいい。恐れてはならない。主の約束を誇りとするがいい。あなたの慰めの力強さを喜ぶがいい。あなたは大胆にこう云えるのである。「主は私の助け手です。私は恐れません」、と。
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